報告・記録

SOAPの書き方完全ガイド|S/O/A/Pの基本から、アセスメントの深め方・チームで揃えるコツまで

2026-05-22

この記事でわかること

  • ✓ SOAPの4要素(S・O・A・P)の意味と書き分け
  • ✓ Sは患者の発言の「どれを」抜き出すかの判断軸
  • ✓ Oが看護師の主観になってしまうパターンと対処
  • ✓ アセスメントを深める「3つの問い」(状態・変化・要因)
  • ✓ Pの3軸(OP/TP/EP)と「コピペPからの脱却」
  • ✓ 同じ症例での悪い例・良い例の書き比べ
  • ✓ チームでSOAPの質を揃える3つの観点
  • ✓ Q&A 5問(複数の問題・変化のない日・主治医指示・手書きの時短など)

「SOAP、なんとなく書いてはいるけれど、本当にこれで合っているのか分からない」——そんな感覚を持っている看護師さん、結構多いのではないでしょうか。

特に、Oが自分の解釈になっていないか不安・Aに何を書けばいいか分からない・Pが結局前回のコピペ——こうした悩みは、新人だけでなく中堅看護師でも持ち続けている人が多いです。SOAPは見た目はシンプルなのに、いざ書こうとすると判断のいる作業がたくさん詰まっているからです。

この記事では、SOAPの4要素を基礎から丁寧に解説したうえで、特に多くの人が苦手とするアセスメント(A)を深めるための「3つの問い」、そしてチームで判断を揃えるための観点まで踏み込みます。看護学生から中堅看護師まで、書きながら隣に置いておけるガイドを目指しました。

1. SOAPとは?看護記録の基本形式

SOAPの4要素
SOAPの4要素:主観(S)→ 客観(O)→ 評価(A)→ 計画(P)の流れ

SOAPは、看護記録(特に経過記録)を書くときに用いられる書式の一つです。次の4つの要素の頭文字をとった言葉で、それぞれの意味と順序が決まっています。

  • S(Subjective):主観的情報
  • O(Objective):客観的情報
  • A(Assessment):アセスメント(評価)
  • P(Plan):計画

「主観 → 客観 → 評価 → 計画」と並べると、これは患者さんに接して情報を集め、その情報をもとに判断し、次のケアにつなげるという臨床判断の流れそのものであることが見えてきます。SOAPは単なる「記入欄」ではなく、看護師の頭の中の思考プロセスを、そのまま記録に残すための器なのです。

4つの要素のざっくり一覧

要素意味書くものの例
S主観的情報(患者の訴え)「お腹が痛い」「眠れなかった」
O客観的情報(観察・測定・所見)バイタル、検査値、皮膚色、呼吸様式
Aアセスメント(評価)SとOから考えられること、変化、要因
P計画観察項目、ケア計画、教育、医師への報告

なぜSOAPで書くのか

SOAPは、1960年代にアメリカの内科医 Lawrence Weed が提唱したPOS(Problem-Oriented System:問題志向型システム)の中で生まれた記録形式です。POSの考え方は「患者さんが抱える問題(プロブレム)ごとに、情報を整理して記録しよう」というもの。問題を一つひとつ追えるようにすることで、ケアの一貫性と継続性が保たれるという発想です。

情報収集→判断→ケアの流れ
情報収集 → 臨床判断 → ケア。SOAPはこの思考プロセスを記録に残すための器

日本看護協会「看護記録に関する指針」(2018)でも、看護記録は趣旨として 看護実践の継続性と一貫性を確保するためのもの と位置づけられています。SOAPはその実践を支える書き方の一つであり、個人の備忘録ではなく、チームでケアをつなぐためのコミュニケーションツールでもあるのです。

2. S(主観的情報):患者さんの声をそのまま

何をSに書くか

Sは「患者さん(や家族)が、自分の言葉で語ったこと」を記録する欄です。

  • 症状の訴え(「胸が苦しい」「右足が動かしにくい」)
  • 気持ちや不安(「夜になると怖くなる」「退院後が不安」)
  • 生活上の変化(「最近、食欲がない」「夜中によく起きる」)

ポイントは、看護師が言い換えたり要約したりせず、できるだけ患者さんの言葉のまま残すこと。「胸部不快感あり」と看護師の言葉に翻訳してしまうと、後から読んだ人にはニュアンスが伝わりにくくなります。

「カギカッコ」で残すのが原則

実際の記録では、患者さんの発言は次のようにカギカッコで残します。

S:「昨日の夜から、右胸のあたりがチクチク痛い。咳をするとひどくなる」

この方が、後で別のシフトのスタッフが読んだとき、痛みの性質(チクチク=表在性)や悪化要因(咳)まで読み取れて、OやAの解釈にもつながります。

Sの良い例・悪い例
良い例:患者さんの言葉を豊かに残す/悪い例:要約しすぎてニュアンスが消える

患者さんがしゃべったこと、どれをSに抜き出せばいい?

新人時代によく出る悩みです。患者さんは雑談から症状の訴えまで、たくさんのことを話してくれます。すべてを書くわけにはいかないので、取捨選択の基準が必要になります。

判断のコツは:

  • アセスメントの根拠になるか:Aで「不安が強い」と評価するなら、その根拠になる発言をSに残す
  • 次のシフトに伝わるべきか:「夜の方が痛みが強い」など、ケア計画に関わる情報
  • 症状・気持ち・生活上の変化に関わるか:単なる雑談ではなく、看護に関わる文脈の発言

逆に、世間話や挨拶、すでに記録済みの既往歴の繰り返しなどは、Sに書く必要はありません。「この発言は、誰かに伝える価値があるか?」を一拍考えてから書くと、迷いが減ります。

家族や付き添い者の発言

「Sは患者さん本人の発言だけ書くもの」と思われがちですが、家族や付き添い者の発言もSに含めて構いません。ただし、「誰の発言か」を明記します。

S:「(妻より)昨日帰宅してから、急にぼんやりして話のつじつまが合わなくなった」

特に意識レベル低下や認知機能の変化など、本人から十分に聴取できない場面では、家族の発言が重要な情報源になります。

3. O(客観的情報):観察・測定・所見を漏れなく

Oに含めるもの

Oは「観察・測定・検査などで得られた、客観的に確認できる情報」を記録する欄です。

  • バイタルサイン(血圧、脈拍、SpO₂、体温、呼吸数)
  • 身体所見(皮膚色、浮腫、創部の状態、呼吸音、腸蠕動音)
  • 検査データ(採血、画像)
  • 行動観察(歩行の様子、表情、ADLの状況)
  • 医療機器の測定値(心電図モニター、ドレーン排液量)

「誰が見ても同じ判断になるか」が、Oの判定基準です。血圧 132/78mmHg、創部の発赤あり、車椅子移乗時にふらつき出現——こうした事実情報がOに並びます。

Oが看護師の主観になってしまう、というあるある

現場でよくある失敗のひとつが、O欄に看護師の解釈や推測が混ざってしまうことです。

❌ 主観混入の例✅ 客観的な書き方
「顔色が悪く、しんどそう」「顔色蒼白、額に冷汗あり、表情険しい」
「呼吸が苦しそう」「呼吸数28回/分、肩呼吸あり、SpO₂ 91%(室内気)」
「痛みが強そう」「腰部を押さえて顔をしかめる、NRS 8」

ポイントは、観察された事実とその尺度を、できるだけそのまま記述すること。「しんどそう」という印象はA(アセスメント)で扱う情報であって、Oに書くと「解釈の入った客観情報」という矛盾した記録になってしまいます。

主観 vs 客観、迷ったときの見分け方

SとO、OとAの境界に迷う場面は、現場で本当によく出ます。次の3つの問いを自分にかけてみると、判断しやすくなります。

  1. 誰が見ても、ほぼ同じ表現になりますか? → なるならO、ならないならA
  2. 数値や具体的な所見に置き換えられますか? → 置き換えられるならO
  3. 患者さんが自分の言葉で語ったことですか? → そうならS

たとえば「眠れないようだ」は、誰が見ても同じとは言えません。Sとして「『昨夜は2時間しか眠れなかった』」、Oとして「夜間ナースコール3回、訪室時開眼」と分けると、それぞれの欄の役割がはっきりします。

S vs O vs A の判定フローチャート
「どこに書くか」迷ったときの判定フロー

4. A(アセスメント):SOAPの心臓部

ここからがSOAPの山場です。「アセスメントが薄いと指摘される」「Aに何を書けばいいか分からない」——この悩みを持つ看護師さんはとても多いです。

Aを上手に書くコツは、「情報を並べるのではなく、SとOを意味づける」と意識することです。

Aは「SとOをつないで意味づける」場所

SとOは「集めた情報」、Aは「その情報から何が言えるかという解釈」です。

たとえば、

S:「『昨日の夜から右胸がチクチク痛い』」

O:呼吸数22回/分、SpO₂ 96%、咳嗽あり、右胸部の打診で軽度の鈍さ。体温37.6℃

ここでAを「右胸痛、呼吸数増加、微熱あり」と書いてしまうと、これはただのOの言い換えに過ぎず、評価になっていません。

良いAの例:

A:右胸痛は咳嗽で悪化する表在性の性状、呼吸数増加と微熱、打診の鈍さから、呼吸器感染や胸膜炎を示唆する所見。SpO₂は保たれており呼吸不全の徴候はないが、咳嗽と発熱は今朝より増強傾向。バイタル含めた呼吸器症状の継続観察と、医師への報告が必要と判断する。

ここでは、SとOの情報を「何を疑い、どの程度の状態で、何が必要か」という形に統合しています。これがAの本来の姿です。

SとO→A→P の流れ
SとOがAに合流し、AがPに繋がる。SOAPの心臓部はA

良いアセスメントの「3つの問い」

Aを深めるための実践的なフレームとして、次の3つの問いを意識するとぐっと書きやすくなります。

① いま、どんな状態か(状態評価)

集めた情報から、患者さんが現在どんな状態にあるかを言語化します。

「術後3日目、創部痛はNRS 3まで軽減。離床は車椅子レベル。腸蠕動音聴取あり、排ガスあり」

ここでは「今を切り取った全体像」を一文でまとめる感覚です。

② 前回と比べて、どう変化したか(変化評価)

これが抜けると、Aは静止画のまま終わってしまいます。SOAP記録の価値は、経過を追えることにあります。

「前日と比較し、創部痛はNRS 5 → 3、離床範囲はベッド端坐位 → 車椅子移乗、と改善傾向」

「改善している」「悪化している」「変わらない」——この変化の方向性を入れるだけで、Aの意味は一気に深まります。

③ なぜ、そうなっているか(要因分析)

「なぜ」を考えることで、Aは次のP(計画)につながります。

「離床範囲が広がっているのは、痛みコントロールが奏功し患者本人の意欲もあること、転倒の心配がない歩行レベルになってきたことによる」

要因が分かれば、「では、何を続けて何を見直すか」が見えます。逆に要因が分からない場合は、「要因の特定が必要」と書いておくこと自体が意味のあるAになります。

アセスメントが薄いと言われる、その理由

「Aが薄い」と先輩や指導者から指摘されるパターンは、だいたい次のどれかです。

  • Oの言い換えになっている(情報を繰り返しているだけ)
  • 「観察を継続する」だけで終わっている(評価がない)
  • 「不安が強そう」だけで根拠がない(SやOとの対応が取れていない)
  • 変化や要因への言及がない(状態評価のみ)

直すコツは、Aを書く前に「SとOの中から、Aの根拠になる情報を一度、頭の中で線で結んでみる」こと。Sの「夜眠れない」とOの「ナースコール3回・浅眠様」がそろっていれば、「入眠困難があり、不安の影響も否定できない」と書ける、というイメージです。

5. P(計画):次のシフトに何を渡すか

Pは「これからどうケアしていくか」を書く欄です。AまでがSOAPの「読み解き」のパートだとすれば、Pは「次のアクション」のパートと言えます。

Pで書くべき要素(OP/TP/EP)

一般的に、Pは次の3つの観点から書きます。

  • OP(Observation Plan):観察計画 — 「呼吸数とSpO₂を1時間ごとに測定」「創部の発赤・滲出液の有無を勤務帯ごとに観察」
  • TP(Treatment Plan):ケア計画 — 「冷罨法を施行」「離床は午前・午後それぞれ20分ずつ」「医師指示のレスキュー薬を疼痛時に使用」
  • EP(Education Plan):教育計画 — 「深呼吸法を本人に説明し、痛みのコントロールに活用してもらう」「退院後の創部観察方法をパンフレットで指導」

Pの書き方が分からないとき、「観察項目をどう増やすか」ばかり考えてしまいがちですが、OP / TP / EPの3軸で見直すと、計画の幅が広がります。

「前回コピペP」から脱出する

Pが前回のコピペになりがちな原因は、Aで「変化」と「要因」を書いていないことがほとんどです。

Aで「離床範囲が広がっている、痛みコントロールが奏功している」と書けていれば、Pは自然と「離床範囲を病棟内歩行まで広げる」「痛みコントロール継続、レスキュー使用頻度を観察」と前回より一歩進んだ内容になります。

逆に、Aが「観察を継続する」だけで止まっていると、Pも同じ場所に留まってしまいます。Pの更新は、Aの更新からしか生まれない——これは強く意識したいポイントです。

6. 実例で見るSOAPの書き分け

ここまでの内容を、具体的な症例で書き比べてみます。

悪い例と良い例の比較
情報量と構造化の差が一目で分かる「悪い例(左)」と「良い例(右)」

例①:術後2日目、疼痛コントロール

❌ 悪い例

S:「お腹が痛い」

O:表情険しい。創部発赤なし。

A:創部痛あり。観察継続。

P:観察継続。

→ Sは短すぎ、Oは情報量が薄く、AはOの言い換えのみで評価がない、Pは「観察継続」のみで次の行動が見えない。

⭕ 良い例

S:「『朝起きたときが一番痛い。NRSで7くらい。動くとお腹に響く』」

O:腹部創部に発赤・滲出液なし。離床時、創部を押さえる動作あり。NRS:安静時4、体動時7。レスキュー(アセトアミノフェン)昨日2回使用。バイタル:BP128/78、HR82、体温37.0℃。

A:術後2日目の創部痛は離床時に増悪、NRSは7と比較的強い。創部所見に感染兆候はなく、運動時痛が主体と判断する。レスキュー使用は妥当な範囲だが、朝の痛みが強いため定期鎮痛薬の効果が朝方に切れている可能性がある。離床の意欲は維持されており、痛みコントロール改善で離床範囲拡大が見込める。

P:

・OP:NRS(安静時/体動時)を朝・夕で評価、創部の発赤・滲出を勤務ごとに観察

・TP:朝の鎮痛薬投与タイミングについて医師と相談、離床前30分にレスキュー使用を本人と確認

・EP:レスキューの使用タイミングを本人に説明、「痛みを我慢せず、動く前に使う」を共有

→ Sには具体的な訴え、Oには事実情報、Aは状態・変化・要因の3つの視点で深掘り、Pは観察・ケア・教育の3軸で具体的に。

例②:術後初日、夜間の血圧低下

⭕ 良い例

S:「『なんだか気分が悪くて、めまいがする』」

O:23時バイタル:BP 88/52(術後安定時120/75)、HR 102、SpO₂ 97%、体温36.7℃、皮膚冷感あり、創部・ドレーンに明らかな出血増加なし、尿量4時間で60mL(前4時間120mL)。

A:術後初日の夜間に血圧低下と頻脈、尿量減少、皮膚冷感を認める。創部・ドレーンに著明な出血徴候はないが、循環血液量減少(術後の不感蒸泄や経口摂取不足による相対的脱水)に加え、ドレーン内に現れない出血の可能性も否定できない所見。早期の医師報告と循環評価が必要。

P:

・OP:15分ごとにバイタル、尿量、意識レベルを観察、ドレーン排液量と性状を再確認

・TP:当直医に状況報告、指示に応じて補液速度調整、Hb確認のため採血の準備

・EP:本人に「めまいが続く・悪化したらすぐ知らせてほしい」と説明

→ Aで「何を疑い、なぜそう考えるか、何が必要か」が一文で示せている。Pがそのまま緊急時の行動計画になっている。

7. SOAPをチームで揃えるための3つの観点

SOAPは個人の書類業務に見えて、実はチームで判断を揃えるためのプラットフォームです。一人ひとりが質の高いSOAPを書けても、チームでの認識がずれていると、ケアの一貫性は保てません。

個人で書くSOAP vs チームで揃えるSOAP
個人プレーから、チームでの共有・判断軸合わせへ

① 判断軸を共有する(「何をAに書くか」の合意)

特にAは人によって書き方の差が大きく出る部分です。「Aには状態・変化・要因の3つを必ず入れる」といった、チームでのお約束を作っておくと、新人の指導もしやすくなりますし、シフトをまたいだケアの継続性も上がります。

「この患者さんでは、何をAに書くべきか」をミニカンファレンスや申し送りで議論しておくと、書くときの迷いも減ります。

② 申し送りとSOAPの役割分担を整理する

口頭の申し送りとSOAP記録は、それぞれ役割が違います。

  • 口頭の申し送り:今すぐ伝えたい変化、勤務交代の場で確認したい判断
  • SOAP記録:時系列の経過、判断の根拠、申し送りで触れなかった細部

両方が同じ内容を繰り返してしまうと、SOAPの価値が薄れます。「SOAPで読めば分かる細部」を申し送りで再度説明しないこと、逆に「申し送りでだけ伝わるニュアンス」をSOAPに残しておくことで、両方の役割が活きてきます。

③ コピペSOAPを生まない仕組み

電子カルテの普及で、前日のSOAPをコピーして一部だけ修正する書き方が増えています。前述のとおり、個人レベルでは「Aは毎回ゼロから書く」「Pは前日との差分を意識する」が基本ですが、これをチームの仕組みとして支えることができると、改善が長く続きます。

たとえば、

  • カンファレンスで「コピペSOAPの例」を共有する(誰のためのコピペになっていたか、どう改善するか)
  • 新人指導の際、Aの評価軸として「3つの問い」を明示する(個人の感覚で書かせない)
  • コピペで残ってしまったミスを発見したら、チーム全体で共有する(批判ではなく仕組みの改善として)

「効率」と「質」の両立は、個人の努力だけでは限界があります。チームで仕組みとして対処することが、SOAPの質を全体として底上げします。

8. よくある質問

Q. 主治医の指示はOに書く? Pに書く?

指示そのものはOに「医師指示」として残し、看護師としての対応計画はPに書くのが一般的です。たとえば「医師指示:疼痛時アセトアミノフェン500mg内服」はOに、「レスキュー使用のタイミングを本人と確認」はPに。

Q. 複数の問題を抱える患者さんでは、SOAPをどう書き分ける?

POSの原点に立ち返ると、問題(プロブレム)ごとにSOAPを分けて書くのが本来の形です。たとえば「術後創部痛」「不眠」「便秘」など複数の問題がある場合、それぞれの問題に対してSOAPを1セットずつ書きます。すべて一つにまとめてしまうと、SとOとAの対応関係が読み取りにくくなり、ケアの追跡もしにくくなります。施設のフォーマットで難しい場合でも、Aの中で「問題①〜、問題②〜」と分けるだけで読みやすくなります。

Q. Aと看護診断は同じもの?

似ていますが、別物です。看護診断はNANDA-Iなどの標準分類に基づいた「ラベル付け」で、Aはその診断に至る思考プロセスや根拠を示すもの。看護過程の中では「Aの積み重ねが看護診断につながる」関係です。

Q. SOAPを毎回手書きしているので時間がかかる、効率化のコツは?

手書きの場合は、Oの項目テンプレートを職場で揃えておく(バイタル・所見の記載順を統一)、Aは短くてもよいので3つの問いに沿って書く、PはOP/TP/EPの見出しを定型化する——このあたりが時短に効きます。書く時間を減らすより、「考える時間を残して、書く時間を短くする」意識が大事です。

Q. 状態が落ち着いていて変化がない日は、Aに何を書けばいい?

「変化がない」というのも、立派な評価です。「昨日と同様に安定した状態を維持」と一文で書き、その安定が「何によって維持されているか」(薬物治療の効果、ケアの継続、本人の意欲など)を加えるだけで、Aは意味のある記録になります。「変化がない」と「観察するべきこともない」は別なので、安定状態の継続を支える要因をAに残すことが、ケアの一貫性につながります。

9. まとめ

SOAPは、看護師の臨床判断を記録に残すための器です。

  • S:患者さんの言葉をそのまま、取捨選択の基準は「アセスメントの根拠になるか」
  • O:観察・測定・所見を、誰が見ても同じ表現になる形で
  • A:SとOをつないで意味づける——「状態・変化・要因」の3つの問いで深める
  • P:観察・ケア・教育の3軸で、Aの更新に応じて前進させる

明日からの一勤務、まずはAの中に「変化評価の一文」を一つだけ入れてみる、というところから始めてみてください。それだけで、SOAPは「書く作業」から「考える作業」に変わっていきます。

関連記事

  • ・——SOAPが「残す」ためのツールなら、SBARは「伝える」ためのツール
  • ・——Aの根拠を組み立てる思考の土台

参考文献

  • ・日本看護協会「看護記録に関する指針」2018年
  • ・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
  • ・Weed LL. Medical records that guide and teach. New England Journal of Medicine. 1968;278(11):593-600.

あわせて読みたい

この記事を書いた人

臨床ナースラボ 管理者現役看護師

日々の臨床で感じた「これ、もっと早く知りたかった」をもとに、チームで判断を揃えるための知識とツールを作っています。