スケール・評価

NEWS(早期警告スコア)の使い方|バイタルサインを「点数化」して急変を防ぐ

2026-04-13

この記事でわかること

  • ✓NEWS(早期警告スコア)の7項目とスコアリング方法
  • ✓スコア別の対応基準(何点で何をするか)
  • ✓スコアを報告やケアにどうつなげるか
  • ✓NEWS2の改訂ポイントとqSOFA・RRSとの違い

「なんとなく変な気がする」——そう感じたとき、あなたはどう報告しますか。

「ちょっと元気がない感じです」「いつもと違う気がします」——その直感は正しいかもしれません。でも、伝わらなければ、チームは動けません。

NEWS概念図:7つのバイタルサインから合計スコアを算出

1. なぜバイタルサインを「点数化」するのか

「なんとなく変」を共有できない問題

ベテランの看護師は、患者さんのわずかな変化を察知する力を持っています。表情、呼吸のリズム、反応の速さ——言葉にしにくい「いつもと違う」を感じ取れる。

でも、それを申し送りで「なんとなく変です」と伝えても、次の担当者は何を基準に観察すればいいのでしょうか。「なんとなく」は引き継げません。

ここで必要になるのが、バイタルサインの「点数化」です。体温・心拍数・呼吸数などの数値はあっても、それが全体として「どのくらい危険な状態か」を一つの数字で表すしくみがあれば、誰でも同じ基準で判断できます。

経験年数に左右されない——NEWSが解決すること

NEWS(National Early Warning Score)は、バイタルサインの測定値を点数化し、合計スコアで患者さんの状態悪化リスクを評価するツールです。2012年に英国王立内科医協会(Royal College of Physicians)が開発され、2017年にNEWS2として改訂されました。本記事ではNEWS2をベースに解説します。

※NEWSはあくまで臨床判断を補助するツールです。スコアだけで診断・治療方針を決定するものではありません。実際の対応は施設のプロトコルと医師の指示を優先してください。

NEWSの最大の強みは、経験年数に左右されないこと。新人看護師でもベテランでも、同じバイタルサインからは同じスコアが算出されます。「なんとなく変」を「NEWS 5→8に上昇しています」と伝えれば、チーム全員が同じ危機感を共有できます。

2. NEWSとは何か——7項目と基本のしくみ

評価する7項目

NEWSは、以下の7つのパラメータをスコア化します。すべて、日常のバイタルサイン測定で得られるものです。

  1. 呼吸数(Respiratory Rate)
  2. SpO2:酸素飽和度(Oxygen Saturation)
  3. 酸素投与の有無(Supplemental Oxygen)
  4. 体温(Temperature)
  5. 収縮期血圧(Systolic Blood Pressure)
  6. 心拍数(Heart Rate / Pulse)
  7. 意識レベル(ACVPU)

意識レベルはGCSではなく、ACVPUを用います。A(Alert:清明)、C(new Confusion:新規の混乱・せん妄)、V(Voice:声かけに反応)、P(Pain:痛み刺激に反応)、U(Unresponsive:反応なし)の5段階です。CはNEWS2で追加された項目です。

各項目のスコアリング(0〜3点)

各パラメータの測定値に対し、正常範囲なら0点、逸脱の程度に応じて1〜3点を付けます。

パラメータ3210123
呼吸数(回/分)≤8—9〜1112〜20—21〜24≥25
SpO2(%)≤9192〜9394〜95≥96———
酸素投与——ありなし———
体温(℃)≤35.0—35.1〜36.036.1〜38.038.1〜39.0≥39.1—
収縮期血圧(mmHg)≤9091〜100101〜110111〜219——≥220
心拍数(回/分)≤40—41〜5051〜9091〜110111〜130≥131
意識レベル(ACVPU)———A——C・V・P・U

※酸素投与は「している=1点」「していない=0点」のシンプルな評価です。

合計スコアの読み方(0〜20点)

7項目のスコアを合計します。合計は0〜20点の範囲で、点数が高いほど状態悪化のリスクが高いことを意味します。

3. スコア別の対応——何点で何をするか

NEWSの最大の価値は、スコアに応じた対応の段階(エスカレーション)が明確に定められていることです。

低リスク(合計0〜4点)

  • 通常のバイタルサイン測定スケジュールを継続(最低4〜6時間ごと)
  • 担当看護師の判断で経過観察
  • 合計0点(すべて正常範囲)なら最低12時間ごとの測定でも可

低〜中リスク(1項目で3点がついた場合)

合計が低くても、1つのパラメータで3点がついている場合は注意が必要です。

  • 最低1時間ごとの再評価
  • リーダーまたは当直医への報告を検討
例:合計3点でも「呼吸数が8回/分以下(3点)」なら、それだけで緊急度が高い。1項目の極端な異常は、合計スコア以上に重要なことがあります。

中リスク(合計5〜6点)

  • 最低1時間ごとのバイタルサイン測定
  • 当直医への報告(診察の要請)
  • チームリーダーへの報告と対応方針の確認

高リスク(合計7点以上)

  • 緊急対応——当直医への即座の報告
  • 持続的なモニタリング(可能であれば)
  • 施設にRRS(院内迅速対応システム)がある場合は起動を検討
  • ICUへの転棟や上級医へのエスカレーションを視野に入れる

スコアと対応の早見表

合計スコアリスク観察頻度対応
0〜4低リスク最低4〜6時間ごと(0点なら12時間可)担当看護師の判断で観察継続
1項目で3点低〜中リスク最低1時間ごとリーダー・当直医への報告を検討
5〜6中リスク最低1時間ごと当直医への報告・診察要請
7以上高リスク持続モニタリング緊急対応・RRS起動検討

※上記はRoyal College of Physicians(2017)のNEWS2ガイドラインに基づく一般的な対応指針です。実際の対応は施設のプロトコルに従ってください。

4. NEWSをケアにつなげる——スコアの「次にやること」

スコアが上がったときの報告の伝え方

NEWSの数字をそのまま報告に使うと、医師への情報伝達が格段に速くなります。

「○○さん、NEWSが前回の3点から7点に上昇しています。呼吸数が28回/分で3点、SpO2が92%で2点、心拍数が115回/分で2点です。診察をお願いできますか。」

ポイントは、合計スコアの変化(3→7)を最初に伝え、3点のパラメータを優先的に伝えること。「なんとなく変です」と「NEWSが3→7です」——医師が受け取る情報量は全く違います。

「呼吸数」を見逃さない——NEWSで最も重要なパラメータ

NEWSの7項目の中で、最も見逃されやすく、かつ最も重要なのが呼吸数です。

呼吸数の変化は、急変の最も早い兆候の一つとされています。心拍数や血圧が変動する前に、呼吸数が先に変化することが多いのです(Smith GB, et al. Resuscitation, 2013)。

にもかかわらず、現場では呼吸数の測定が甘くなりがちです。パルスオキシメーターではSpO2と脈拍は測れますが、呼吸数は測れません。自分の目で数えるしかない。だからこそ見落とされやすく、だからこそ重要です。

呼吸数の測定のコツ:患者さんに気づかれると呼吸パターンが変わることがあるため、脈拍を測るふりをしながら呼吸数を数えるのが一般的です。15秒×4、できれば30秒×2でカウントしましょう。

経時的に追うことの意味——トレンドで読む

NEWSは1回のスコアだけでなく、経時的な変化(トレンド)で読むことが重要です。

  • NEWS 3→3→3:安定している
  • NEWS 3→5→7:悪化傾向——早めの対応が必要
  • NEWS 8→5→3:改善傾向——治療効果あり

合計スコアが同じ5点でも、「2→5に上がった5点」と「8→5に下がった5点」では意味が違います。スコアの方向性を意識することで、先手を打った対応ができます。

5. NEWS2(2017年改訂版)で変わったこと

本記事はNEWS2をベースに解説していますが、ここでは初版(2012年)からの主な変更点を整理します。

SpO2スケール2(慢性呼吸不全患者向け)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの慢性呼吸不全患者では、目標SpO2が88〜92%に設定されることがあります。通常のスケールでは「SpO2 92%=2点」ですが、これらの患者にとっては正常範囲です。

NEWS2では、医師の指示のもとSpO2スケール2を使用し、目標範囲内であれば0点とするよう調整されました。

意識レベル評価への「新規の混乱」の追加

NEWS2では、意識レベルの評価に「新規の混乱」(new-onset confusion / delirium)が追加されました。従来のAVPU(A / V / P / U)に加え、新たに出現した混乱・せん妄がある場合も3点とします。

表記はACVPU(A = Alert、C = new Confusion、V / P / U)となりました。これは、敗血症の早期兆候として意識の変容が重要であることを反映した変更です。

NEWS2を使うべき場面

現在、英国NHSではNEWS2が標準です。日本では施設によって採用しているバージョンが異なりますが、慢性呼吸不全の患者が多い病棟や敗血症の早期発見を重視する施設では、NEWS2の考え方を知っておくことが重要です。

6. よくある疑問とQ&A

Q. NEWSはどの患者に使う?全員?

A. 原則として、急性期の入院患者全員に適用するのが推奨されています。ただし、終末期ケアの患者さんや小児には適用しません。小児には別の早期警告スコア(PEWS)があります。施設ごとの適用範囲を確認してください。

Q. 呼吸数って正直ちゃんと測れていない——どうすればいい?

A. まず、「呼吸数を測ること」をバイタルサイン測定のルーチンに組み込むことが第一歩です。患者さんに気づかれると呼吸パターンが変わることがあるため、脈拍を測るふりをしながら呼吸数を数えるのが一般的なコツです。チームとして「呼吸数を必ず測定する」と決めることが、NEWSを正しく運用する前提条件です。

Q. NEWSが高いのに医師が動かないときは?

A. まず、スコアの合計と最も高い項目を具体的に伝えているかを確認してください。「NEWSが高い」ではなく「NEWSが7点で、呼吸数28回で3点です」のように伝えます。それでも対応がない場合は、チームリーダーや上級医へのエスカレーションを検討します。

Q. qSOFAとNEWSの違いは?

A. qSOFA(quick SOFA)は敗血症スクリーニングに特化した3項目のスコアです(呼吸数≥22、意識変容、収縮期血圧≤100mmHg)。NEWSは急性疾患全般の状態悪化を検出する7項目のスコアで、より汎用性が高く、敗血症の検出でもqSOFAと同等以上の精度が示されています(Churpek MM, et al. 2017)。

Q. RRS(院内迅速対応システム)との関係は?

A. RRS(Rapid Response System)は、患者の急変を早期に検知し、専門チームが介入するシステムです。NEWSは、このRRSの起動基準(トリガー)として使われることが多く、「NEWS 7点以上でRRSを起動する」のように明確な起動条件になります。

7. まとめ——「なんとなく変」を数字にして、チームで動く

NEWSは、バイタルサインという日常の測定データを、チーム全員が共有できるリスク指標に変換するツールです。

  • 7項目のバイタルサインをスコア化し、合計0〜20点で評価する
  • スコアに応じた対応の段階が明確に定められている
  • 経験年数に左右されない——誰が測っても同じスコアが出る
  • 呼吸数の正確な測定がNEWSの精度を左右する
  • 1回のスコアだけでなく、トレンド(経時変化)で読むことが大切

「なんとなく変」は、経験に裏打ちされた大切な直感です。でもその直感を、チームで共有できる数字に変えることで、一人の気づきがチームの行動に変わります。

参考・根拠

  • Royal College of Physicians. National Early Warning Score (NEWS) 2. London: RCP, 2017.
  • Smith GB, et al. The ability of the National Early Warning Score (NEWS) to discriminate patients at risk. Resuscitation. 2013;84(4):465-470.
  • 日本集中治療医学会 RRS委員会報告(2025年)

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この記事を書いた人

臨床ナースラボ 管理者現役看護師

日々の臨床で感じた「これ、もっと早く知りたかった」をもとに、チームで判断を揃えるための知識とツールを作っています。