点眼の手技と患者指導|正しい方法とよくある間違い
2026-04-18
点眼は日常的に行う基本手技ですが、「どこに落とすのが正しいか」「複数あるときの順番は?」と聞かれると、意外と迷うことがあるかもしれません。
この記事では、看護師が行う点眼の手順と、患者さんへの自己点眼指導のポイントをコンパクトにまとめます。
点眼の基本手順——看護師が行う場合
準備
- 手洗い:石鹸と流水で手指を洗浄する
- 薬剤確認:薬剤名・濃度・患者名・左右の指定・使用期限を確認する(6R)
- 患者確認:氏名の確認。点眼の目的を簡潔に説明する
実施手順
仰臥位またはやや頭を後屈させた座位。患者さんに頭をやや後ろに倒して上を向いてもらうよう声をかける
清潔なガーゼまたは手指で下まぶたを軽く引き下げ、結膜嚢(下まぶたの内側のポケット)を露出させる
容器を眼から2〜3cm離して、結膜嚢に1滴を落とす。容器の先端がまつ毛や眼球に触れないようにする
点眼後、静かにまぶたを閉じる。まばたきはしない(薬液が流れ出てしまうため)
目頭のやや鼻寄り(涙嚢部)を指先で1分程度軽く押さえる。薬液が鼻涙管を通って全身に吸収されるのを防ぐ
清潔なガーゼやティッシュで、目の周りに溢れた薬液を軽く拭き取る

複数の点眼薬がある場合
- 点眼間隔は5分以上空ける(前の薬液が洗い流されるのを防ぐため)
- 一般的な順番の目安:水溶性点眼液 → 懸濁性点眼液 → ゲル化点眼液 → 眼軟膏
- 医師から順番の指示がある場合はそちらを優先する
よくある間違い——ここに注意
容器の先端がまつ毛・眼球に触れる
容器の先端が汚染され、細菌感染のリスクが高まります。点眼時は必ず2〜3cm離します。触れてしまった場合は、汚染の可能性があるため、施設のルールや添付文書に従って対応してください。
2滴以上さしてしまう
結膜嚢に保持できる量は約30μLで、点眼薬1滴は約30〜50μLです。1滴で十分であり、2滴以上さしても効果は変わりません。
点眼後にまばたきをする
まばたきをすると薬液が涙と一緒に流れ出てしまいます。点眼後は静かに閉眼してもらいます。
点眼の順番・間隔を守らない
複数の点眼薬を続けてさすと、先にさした薬液が後の薬液で洗い流されてしまいます。最低5分の間隔を空けます。
患者さんへの自己点眼指導
基本の自己点眼方法
入院中は看護師が点眼を行いますが、退院後は患者さん自身が行うことになります。以下のポイントを指導します。
手を洗う
鏡を見ながら(または天井を見上げて)下まぶたを引く
容器を持つ手を、まぶたを引いている手の上に乗せて安定させる
1滴を結膜嚢に落とす
静かに目を閉じ、目頭を軽く押さえる
げんこつ法——手が震える方・うまくさせない方向け
高齢者や手の震えがある方には、げんこつ法が有効です。
- 片手でげんこつを作り、下まぶたに当てて軽く引き下げる
- もう片方の手で点眼容器を持ち、げんこつの上に手を乗せて安定させる
- そのまま1滴を点眼する
げんこつが土台になることで、手の震えの影響を減らせます。
自己点眼が難しい場合の判断と対応
以下のような場合は、家族への指導や訪問看護の導入を検討します。
- 視力低下が強く、容器の位置がわからない
- 手指の巧緻性が低下している(関節リウマチなど)
- 認知機能の低下により手順を覚えられない
- 点眼補助具の使用を提案することも有効
よくある疑問 Q&A
Q: 点眼後の目頭圧迫は必要?
A: 特に全身への副作用が懸念される薬剤(緑内障治療薬のβ遮断薬など)では重要です。すべての点眼薬で必須ではありませんが、習慣として行うのがよいとされています。
Q: 眼軟膏との順番は?
A: 眼軟膏は最後に使用します。先に眼軟膏を入れると、油性基剤が眼表面を覆い、後からさす点眼薬の吸収を妨げます。
Q: 「1日4回」は何時にさせばいい?
A: 厳密な時間指定がなければ、起床時・昼・夕方・就寝前のように、できるだけ等間隔に分けるのが基本です。食事の時間に合わせると忘れにくいと伝えるのも一つの工夫です。
Q: 「眠前」の点眼は何時?
A: 就寝の直前(ベッドに入る前)が望ましいです。点眼後はしばらく閉眼するため、そのまま就寝する流れが自然です。
Q: 点眼薬の保管で注意することは?
A: 製剤ごとに異なるため、添付文書や薬剤師の指示を確認してください。一般的には直射日光を避け室温保存ですが、冷所保存の指示がある薬剤は冷蔵庫で保管します。開封後の使用期限も製剤により異なります。
まとめ
- 点眼は結膜嚢(下まぶたの内側)に1滴が基本
- 容器の先端をまつ毛・眼球に触れさせない
- 点眼後は閉眼+涙嚢部圧迫
- 複数の点眼薬は5分以上の間隔を空ける
- 高齢者の自己点眼にはげんこつ法が有効
- 自己点眼が難しい場合は、家族指導や訪問看護の検討を
シンプルな手技だからこそ、正しい方法を根拠とともに理解しておくことが大切です。
参考・根拠
- 看護roo!:点眼・点入の実施方法
- 参天製薬:目薬の使い方
- 日本看護研究学会誌:看護師の点眼指導における実態とセルフケアの評価視点(2024)
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この記事を書いた人
臨床ナースラボ 管理者現役看護師
日々の臨床で感じた「これ、もっと早く知りたかった」をもとに、チームで判断を揃えるための知識とツールを作っています。